片恋

「だ、大丈夫?琴子ちゃん」


すばやく肩を支えられて
転ばずにすんだけれど、

振り向いた瞬間の
珍しくびっくりした表情の
遼平君の顔が、

私の頭に焼き付いている。。


は、・・・はずかしい・・・。


往来で手と足を伸ばした、バレリーナ
…の華麗さとは程遠い、
物凄くマヌケなポーズを披露した私に、

すれ違う人たちがみんな、
クスクスと笑う。

正直に言えば、

転んだり、
ぶつけたり、
迷子になったりに

なれっこになってしまっている
(程しょっちゅうある)自分なのだけど、
 

・・・な、なにも遼平君と一緒の時に・・・。


真っ赤になってうつむいていると、
かがみこんだ遼平君は
軽く私のスカートのすそを払う仕草をし、

「よし、大丈夫。行こう。」


そう言って、


はい。と、手を差し出した。



え、と思うまもなく、
遼平君は私の手をとって歩き出す。


・・・い、いまのはちょっと、

いや、かなり・・・うれしいデス。



ぽけーっと遼平君に見惚れる
私の視界からは、

周りの人達なんか綺麗さっぱり
消え去ってしまった。


ていうか、王子様?
王子様のようじゃないですか??


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