片恋
繋いだ手から
そっと視線を上げれば、
遼平君は、いつもの穏やかな顔で
笑いかけてくれる。
わ、わかってますよ、
遼平君のノリとしては
保育士さんのようだったですよ。
(でも結果オーライ)
「・・・ふふふ、懐かしい。
昔よく、遼平君が手を繋いでくれた。」
「そうだっけ。琴子ちゃんがよく、
亮介の手を引いてたのは覚えてるけど。」
ちびっちゃい頃の亮介の、
虫やらお菓子やらで
べとべとの掌を思い出して、
私は軽く眉根を寄せた。
「あー、だってあのこ、目を離すと
すーぐどっかいっちゃうんだもん。」
「ははは。」
そっと繋いだ手の感触に、私は安心する。
絶対、手にも相性がある。
遼平君の手はとても私の手に馴染むのだ。
・・・なんちゃって。