片恋



繋いだ手から
そっと視線を上げれば、

遼平君は、いつもの穏やかな顔で
笑いかけてくれる。

わ、わかってますよ、

遼平君のノリとしては
保育士さんのようだったですよ。
(でも結果オーライ)



「・・・ふふふ、懐かしい。
昔よく、遼平君が手を繋いでくれた。」

「そうだっけ。琴子ちゃんがよく、
亮介の手を引いてたのは覚えてるけど。」

ちびっちゃい頃の亮介の、
虫やらお菓子やらで
べとべとの掌を思い出して、

私は軽く眉根を寄せた。


「あー、だってあのこ、目を離すと
すーぐどっかいっちゃうんだもん。」

「ははは。」


そっと繋いだ手の感触に、私は安心する。

絶対、手にも相性がある。


遼平君の手はとても私の手に馴染むのだ。
・・・なんちゃって。



< 21 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop