片恋
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おばけはちいさなびんを
あきもせずにながめました。
二ひきのおさかなは
きょうもとても
なかがよさそうです。
おばけはびんを
だいじにしました。
そんなおばけに、おさかなのほうも
きがついたようです。
おさかなのいっぴきが、
びんをのぞきこむおばけにむかって
ぱくぱくとしたしげに
はなしかけてきました。
おばけはとてもおどろいて
それからとてもよろこんで
じっとおさかなのことばに
みみをかたむけました。
おばけはずっと
おさかなはしゃべらないものだと
おもっていました。
だけどもそれは
ことばが、
おとが、
ちがうだけで
おばけのみみに
とどかなかっただけなのです。