片恋
「子供じゃん、コトコ。」
「亮介には言われたくないんだけど。」
いつも通りに軽口で返したら、
亮介は真面目な顔で続けた。
「なんでお前、俺には年上ぶるかなあ?
いっとくけどあいつ、シュウには
コトコが言うみたいな子供扱い、しないぜ?」
「・・・シュウ君よりコドモですから。」
「シュウがそれを求めてないから、だよ。」
また、いつもの亮介の、
変わった言い回しのまわりくどい揶揄が
来るのかと思ったら、
今度はちゃんと言い足した。
「いいんじゃね?
コトコみたいに優しくされたい奴には、
優しくしてくれるし。
・・・俺はあいつと違うから、
俺が・優しくしたい奴にしか、優しくないし、
嫌いな奴は、とことん嫌うけど、な。」
私の顔を見ずに、どこか独り言のように呟く。
「・・・それを子供といわずになんというの。」
どう答えていいか分からずにそう言うと、
ぶはっと、横を向いた亮介が吹きだした。
「珍しく鋭いじゃん・・・」
笑いながらこっちに向けられた瞳を、
逃がさないよう、正面から見据えた。
「どうして教えてくれなかったの?」
亮介は中途半端な笑いをはりつかせ、
マズイ、という顔になる。