片恋



「何してるんだ」



ひやりと冷たい、

とても硬質な声に、



ぎゅっと心臓が縮んだ。



背後のお友達ごしに振り向くと、
部屋の入り口に遼平君が立っていた。


勝手にあがったうえ、
話し込んでる自分に気づいて、

私は青くなる。


「ご、ごめんなさい!勝手に…っ」

「おぅ、お帰り遼平ー。」


遼平君はそれを無視するように、
表情一つ変えずにこちらにくると、

その人の目を
真っ直ぐな視線で射抜いたまま、
私の手を引いた。

決して乱暴ではないけれど
有無をいわせない強い力に、

私は焦る。ほとんどパニックになって焦る。


私は、


遼平君を怒らせたことが


ない。



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