片恋
「あるよ、果て。
面白いとはいえないけど。」
遠慮がちにシュウ君がこっちを見たので、
思いっきりぶっちょうづらを
してみせた。
亮介がその顔を、指差して笑う。
「こてんぱんにしてやったか。」
「そうでもないよ。」
亮介は、得意気に謙遜する
シュウ君の頭をワシワシとなでると、
そのままリビングを突っ切って、
自分の部屋に向かう。
後姿を目で追うと
鞄を置いただけで、
すぐ戻ってきた。
「送る。帰れ、コトコ。」
私が何か言い出すよりも前に
シュウ君はトランプを片付けている。