片恋
怖いくらいに澄んだ瞳にのぞかれて
こくり、と息をのむと
添えられた手のひらがするりと頬を撫でた。
思わず身じろぎをすると
反対の頬も手のひらに包まれて、
私は、顔をそむけることすらできない。
真剣な瞳は静か過ぎて、
私はそこに、どんな感情も
あてはめることが、
できないでいる。
「・・・少し、あかくなってる。」
「あ・・・。」
どうしたの?これ、といいながら
額にかるく息を吹きかける。
ひ、ひゃ~~~!!
そっと指先が輪郭をたどり、
前髪をかきわけ、眉をなぞる。
「りょ・・・う、へいくん?」
わけのわからない恥ずかしさと、
問いかけても答えてもらえない心細さに、
私の視線は、ひたすら遼平君の指と
反対の方へ逃げていく。
遼平君の瞳がじっと、それを追う。
とても乾いた
観察するような
だけどかすかに
何かを探して、求めている。
求めている。
その視線の先が自分であることに、
なぜか急にいたたまれなくなった私は、
けれど身動きがとれなくて、
じりじりと焦げ付くような思いを抱いた。
どうしてだろう。
振りほどいたら、
傷つけてしまう気がした。
なんどか親指の腹で目の下をなぞり、
それから何かを払うように、軽く頬を撫でると
やっと納得したように、手が離れた。
「他はどこも、なんともないみたいだね。」