片恋
「シュウ。俺、鍵持って出るから、
何かピンポン来ても開けなくていーから。」
「わかってるよ。」
私の方を見向きもせずに
とっとと玄関に向かう亮介に向かって、
シュウ君が手を、ひらひらと振る。
大丈夫、
わかってる、
なんでもない
そんなときに、
亮介がよくやる仕草だ。
「じゃあまたね、
ことこちゃん。」
「う、うん。
お邪魔しました。」
とても息のあった
兄弟による連繋プレーに、
私はなすすべもなく追い出される。
今日も、遼平君に、
会えなかった。