片恋


・・・やっぱり、気づかれてるよ、ね。

~~なんであんな、あんなぁぁぁ…


遼平君を意識しすぎて、
ありえないヘマをしまくった。

自意識過剰、にも程がある。

大体、せっかく時間を作ってくれたのに、
私のせいで、雨の中を歩き回るだけで
終わってしまったのだ。

そのうえおうちにお邪魔して、
何してんだか、本物の邪魔者だ。。

思い出すだけで恥ずかしくて、
申し訳なくて、

なんかもう、
「オマエ、浮上しなくていいよ」って程
落ち込む。


・・・今は、平気なのになあ。
  ・・・遼平君の、おかげだけど。。

ほとんど恐慌(!)をきたした私を、
遼平君は、子供の頃と同じように
やさしくなだめて安心させてくれた。

うろたえるだけの私の手を取って
てきぱきと火傷の処置を済ませると、

温めた新しいカップに
もういちど紅茶を入れ直してくれて、

それからコンビニで、
私の好きなチョコを買ってきてくれた。

カラフルにコーティングされた
おはじきみたいなチョコレートは、
お皿にばらまくと、

それだけでちょっと楽しくなった。

熱い紅茶はゆっくりと飲み干すと
胸の辺りがほかほかとして、

それだけでちょっと
ゆったりした気持ちになれた。

遼平君はあっという間に、

すべてを正しい状態に整えてしまうのだ。


だけど当の本人は
さっきから変わらず、

起きてるんだか寝てるんだか
微妙な角度でうつむいている。

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