片恋
二ヶ月ほど前、
17歳になった私は、
四つ年上のイトコである遼平君と、
婚約をした。
この年にして、それまでにもいくつか
お見合いをさせられたけれど
子供の頃から知っている遼平君なら、
私は大歓迎だ。
遼平君はとてもカッコいい。
スラッと背が高くて、
すっきり整った顔だちで、
ハンサムという形容がぴったりだ。
遼平君がニッコリ笑うと、
流暢な英語で
「パーフェクト!」と
どこからか効果音が
とんできそうな気さえする。
すずやかで、凛として、
ともすれば
冷たくも見える明晰な瞳は、
いつもニコニコと
人あたりよく静かな光を
たたえている。
子供の頃から、
何事においてもやたら優秀な人だった。
なのに少しも嫌味な所がなくて、
人から憎まれることがない。
やさしいのだ。
5つ年下の弟である亮介とは
似ても似つかない。