片恋
「それで、飲みって何時から?
俺は多分、行かないけど。」
「え?うわ、もう時間じゃん!
女の子来ちゃうよ、いくぞ!!」
「えー?じゃあな遼平、次は来いよ~」
「と思ったけど、やっぱくんなよ~」
どっちだよ、と笑い返しながら見送る。
その表情も消えないうちから、
出口の方で飛び交う声は、
すでに雑音のひとつとして
意識から閉め出されていく。
それでも形を持って
飛び込んできた会話に、
知らず知らず、眉をひそめた。
「そういやさ、
あいつに聞いたんだけど、
遼平の妹ってのがさ、
すっげーーカワイイんだって!!」
「ウソ、見たい、すげえ見たい、
絶対美人だろ、それ!!」
「遼平ん部屋いたら、来たんだって。
ものすっごい、びしょうじょ。」
・・・妹じゃねえよ。