片恋


「・・・危ないことは、しないで。」

「ふんふん。」



「・・・悪いことも、しちゃだめ。」

「はいはい。」



「・・・遼平君と、仲良くして。」

「うはははは。まあ、そのうちね。」



うつむきそうになる私の顎をつかんで上向かせ、

それだけ?と笑う。


「・・・それで、全部。」


顔をそむけて亮介の手を外すと、
亮介は

「どれも聞いたことあるやつ
 ばっかじゃん」

と笑って、

シュウ君にするみたいに
がしゃがしゃと私の頭をなでた。


押さえつけるような乱暴さで、
ほとんど無理やり、下を向かされる。


私はいつも、
シュウ君と亮介のそれを
微笑ましいと眺めていたはずなのに、

なんだかとても、惨めになった。


なんだかまるで私の方が、

拗ねた子供のようだった。


「・・・ずっと、探してたんだよ」



くぐもったような笑い声が、
ぴたりと止んだ。

頭を撫でていた手が、離れる。


帰るよ、といいたくて、

それを追うように
顔を上げようとした瞬間、

頭上から返事が、降ってきた。

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