片恋
来た道を
引き返して歩きながら、
ひたすら自分の靴の先をにらんだ。
目の中でたくさんの光が飛び交って
ぼやけて、くっついて、
周りの風景がよくわからない。
「琴子ちゃん・・・!」
心から心配そうに名前を呼ばれ、
顔をあげて前を向くと、
今まで垂直に落下してた涙が、
頬を伝って流れ落ちる。
「・・・りょ、う平君・・・っ」
息を切らせて走ってくる遼平君を見た途端、
気が緩んで、
更に涙があふれてきた。
全身から力が抜ける。
私は、転びそうになりながら
もつれる足で何とか駆け寄ると、
遼平君の背中に腕を回して、
正面からしがみついた。