片恋
前を向いて道路の先を
にらんでいた亮介が、
うつむいた私を一瞥する。
「会いたきゃ、
電話でもすれば。」
「・・・うん、でも・・・
忙しいと・・・思うし。」
こっちから、かけたりなんて、
できない。
「忙しいわけねえだろ。
その辺の大学生見てみろよ。
羽伸ばしてるだけだっての。」
「遼平君は違うよ。」
「ばあか。」
間髪いれずに亮介に言われ
私は言い返すこともできずに
自分の足元を見つめた。
二ヶ月前の食事会の席で見た、
遼平君を、思い出した。
緊張気味の私と違って
遼平君は、とても落ち着いていて、
朗らかに、
周りの人に挨拶をしていた。
大人だなあと、思った。