片恋
それから先は、散々だった。
やっと止まった知らない駅で、
真っ先に降りて時刻表を調べたら、
「本数、少なっ・・・!」
折り返す電車が全然来ない。
しかも流れる滑舌の悪いアナウンス。
「F駅で緊急停止ボタンが押されました関係で、電車が遅れております・・・」
F駅ってどこ・・・!!
やきもきしながら30分はホームで待って、
待ち望んだ電車に乗り込み、
ほっと息をつこうとしたら、
自分が、鞄を持っていないことに気づいた。
「ええっ」
ボーゼンとしながら、
制服の自分を見回して思い返す。
さっきの駅では持ってたっけ?
それとも・・・窓に張り付いた時に、
足元に置いた気がする。
たぶん、電車の中だ。
「・・・何が入ってたっけ。
定期と財布はあるし、教科書・・・携帯か!」
うわ~~~、今すぐ引き返したい、
けど、引き返してどうすんの・・・!!
何だかもう、情けなくて情けなくて、
自分自身に嫌気がさす。
もう、嫌いだ、こんな自分。
こんな毎日。(私の人生こんなのばっかだ!)
とにかく遼平君に会って、
この最悪な気分をなんとかしてから、
他の事を考えたかった。
けれど、降り立った駅で
改めて時計を見て、愕然とする。