天使みたいな死神に、恋をした
「そうでした。言い忘れてましたけど、翠さんのサークル仲間は既に召されたそうですよ」
「なんでそんな大事なことを今思い出したの」
「忙しかったので後回しにしました。綠さんのことはまだ残しているみたいですから安心してください」
「それ聞いてホッとした。それで、いつごろみんなは先へ行けたの?」
「いつ? さぁ? 時間ってものはここには無いですからいつと言われましても答えられませんね」
「本当によくできてる世界だね」と嫌味の一つも言ってやる。
「世界じゃないですけどね」
「じゃ、なんなの」
「本来あるべき場所でしょうか……さ、着きました」
そう言うとアンジュラは私を地面に降ろす。
雪。
イメージはそれ。
汚れなき白の世界。その宙に、
ルーインが足を大きく広げてふんぞり返って座りながら浮かんでいて、目の前には綠さんが小さくなって所在なさげに立っていた。
自分は偉そうにふんぞり返っていて、人を横にちょこんと置いておくなんて、なんていう腐れ天使。
これなら姿勢だけは低い死神のほうがよっぽどまし。