天使みたいな死神に、恋をした

「うん、そうだよ。これが私なの。あの事故以来ずっとこうなってる。ほんとはね、もう少しきれいなはず」

 横になってる自分は力なくてあまりにも悲しすぎるから。
 
 でもこの期に及んでもまだ冗談が言えるんだから、まだ正気だなと一人で頷く。


「まあ、こっちでいうところ、時間はあと少ししかありませんけどね」

 アンジュラが余計な一言を放ち、
 
 今まで一度もアンジュラと話したことも無かった綠さんはアンジュラの言ったことの意味が分からずに、間髪入れずに聞き返した。
 
「それってどういう意味ですか? 時間が無いってどういうことですか」



「翠さんの命はあと3日しかありません」




「うっそ、そんなに時間経ったの?」
 


 そんなに時間が経つのが早いなんて!

 ついこの前こっちに来たばっかじゃん!

 こっちでは一回だけ生温い中途半端なアンジュラの仕事の端っこの方を垣間見ただけじゃないか。

 たったそれだけでそんなに時間が過ぎ去るわけ?


「ですから何回、いや、何十回も言ってますが……」

 はいはいとアンジュラが言いそうなことを先読みして手をぱたぱたと振って言葉を遮った。

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