天使みたいな死神に、恋をした
といったそんな画を見終わった私は、ルーインを細い目で見た。
私の考えを読み、やっちまったと青ざめるルーインに、溜息をつくアンジュラ。
「ねぇ………………一つ言ってもいい? てかいいよね。ダメって言っても言うよ」
ルーインに詰め寄る。
「いや、みなまで言うな。ほら、言わなくても分かることもある」
手を振って答えを聞きたくないと訴えるルーインは無視し、
「最後の方のアレ、あんたと綠さんのやりとりって私聞いちゃダメなところじゃん! 絶対ダメなところじゃないの! 私には最後に会える人がいないってことだし!」
ルーインの胸ぐらを掴み、ゆっさゆっさと揺らす。
まぁまぁとなだめるアンジュラは私の手を簡単にほどいた。
「ほんと、バカ天使!」
私の暴言に何か言い返したかったんだろうけど、何も言えないルーインはただただ押し黙っている。
「私が万が一こっちに残る事になっちゃった場合、私はもう誰にも最後の挨拶ができないってことでしょう? しかもそれが出来るのは一回だけで、そのチケットを綠さんに譲っちゃったってことでしょ? しかもしかもしかも、なんだか私、バカみたいじゃん! そんなの最初から知ってたら……」
知ってたら私どうしたんだろう。
それでも彼女に譲っただろうか。
「そんなことないですよ。翠さんはバカじゃないですし、優しい人ですよ」
アンジュラのフォローにルーインが乗っかり、
「バカだな。それは正解」
「正解じゃない、バカ天使! なんで先に教えてくれないの!」
「先に答えを教える問題がどこにあるんだよ」
「開き直るなバカ天使ーーーー!」
涙がぽろぽろぽろぽろ落ちてくる。
手でぐりぐり拭きながら、再度『バカ天使ー!』と泣き叫び、アンジュラの胸の中でおいおいと泣いた。