天使みたいな死神に、恋をした
死神であって神様じゃないけど、とりあえず拝んでみる。
「なんですかそれ。私は拝む対象じゃないと思いますけど」
ダメだダメだと拒否しながら仕事の準備にかかっているアンジュラの後ろをくっついて歩いてぎゃーぎゃーわめき立てる私をうっとうしく思ったのか、
「それじゃ、その観光だかなんだかを一回したら、ちゃんと戻りますね? 約束できます?」
私の目をじーっと見ながら聞いてきた。
勝ち取りました! 観光を勝ち取りましたよー!
と、大きな声で叫びたいが、ここには私とこの死神一人のみ。
この感動を分かち合える人は、いない。
ので、心の中で一人ガッツポーズ。
「戻る。絶対約束する!」
「絶対ってのは……まあ、いいです。わかりました」
「これから? 今から行くの?」
「いいえ。これから私は仕事がありますから、それが終わってからにしましょう」
「じゃ、明日ね」
「ですから、ここには時間の概念がありませんから、明日なんてものは無いんですよ」
「はいはい。それじゃアンジュラの仕事が終わったら」
はい、そうしましょうと言うと、深くフードを被り、背中に例の切れ味抜群の鎌を担ぎ、それではおとなしく待っていて下さいねと言い残し、家を後にした。