天使みたいな死神に、恋をした
あのくされ天使はこんな時ばかり真面目に成り下がる。
酒が飲みたいなら、俺は帰るぞ。
と、言い切る前にさっさとお帰りになられた。
でだ、目の前にはぬぼーーーーーっと突っ立ってる(変な)死神が私を見てる。
「あぁ……ええと……じゃ、行く? とか?」
「はい」
「ってどこに行く気でしょうか?」
「それなら、行く? じゃなくて、行きましょうじゃないでしょうか」
「……」
一言も二言も三言も余計なことを言う死神をうすら細い目で睨む。
しかしここで反発したころで私のこの計画は消え去ること間違いなしなので敢えて言わないことにする。
だって、そろそろ体にもどらなきゃならないリミットが迫ってる。だったらもう少しだけこっちの世界を楽しんで、それから帰りたい。
問題は片付いたんだから、それならこっちの思い出も作りたい。人間だもの、欲がでるんです。
生きるってことは欲の寄せ集めなのかもしれないなあ、と、考えてもしょうもないことを考えてしまう自分はやはりまだ生きているんだと実感する。