天使みたいな死神に、恋をした
「あっちに戻ってからもさ、たま~にこうして会えたりすればいいのにね」
私は何気なく、さらりと聞いてみた。
「あまりそういうことは考えないほうがいいですよ」
「だから言っただけじゃん」
「聞かなかったことにします」
「意地悪だ」
「正直なところを言ったまでです」
真面目に返さないでよと心で抗議。
だってそれは出来ないって既に聞いてるし分かってるし。
でもこんな変な天使と死神なんてそうそうお目にかかれるもんじゃないし、最初はこの二人の適当さ加減にいらっときたりもしたけど、今じゃなんかもう家族みたいな雰囲気にもなりつつある。
私が本当にこっち側の住人になる時、もしかしたらその担当はこの二人じゃなくなってるかもしれないじゃんね。そうしたらもう二度と会えないってことだよ。
だから、気になって聞いただけ。
「思ったんですけど、翠さんはやはり少しどこかネジが緩いと申しますか、その、変わっていますよね」
この死神は自分のことは棚上げで人のことを変人扱いだ。
「いやいやそっくりそのまんまお返ししますよ、アンジュラこそ変わってると思うよ」
牙あるし、色白いし、目の色も変だし。
「私は変わっているとは思いませんね」
「私だってそうだよ。だいたいみんな自分のことは自分が一番まともみたいに思ってるもんだよ」