天使みたいな死神に、恋をした

 私が昏睡状態のときに一体何があったんだろうか。

 また浮気か?

 いや、それならこんなことしないか。

 疑わしきは罰せず。

 これ鉄則だね。

 まぁ、いいや。一緒にいてくれるならそれは私がずーっと願ってたことだし、結果オッケーなら中身はなんでもいいか!


「なんか暑くなりそうだね」

「だな。そうだ、髪の毛上げてやるよ。暑いでしょ」

「え? 自分でやるからいいよ。大丈夫だよ。てか亮やっぱ変だよ。なんかあったの?」

「いいいいや、ないよ」


 どもりながら即答するところがとっても怪しい。


「いいからほら、前向け」

 人が違って見えるんだけど深く考えない考えない。

 深く考えていい結果が出るのは良いことを考えてる時のみ! 

 悪いことや不安な事を深く考えても、答えは更に悪い方に向かう。


「じゃ、お願いしまーす」


 髪の毛をそっと優しくまとめ、クリップで落ちないように止めてくれて、

 そんな優しさに心が温かくなる。

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