天使みたいな死神に、恋をした
ずらりと並んでいるベッドはカーテンで仕切られているが、きっとサークルの仲間たちが同じようにいるのだろう。
薬品のにおいが鼻について気分は落ちる。
この並びのどこかに翠もいるはずだ。
肋骨でも折っているのか、腹に力を入れるのに痛くて時間がかかった。腕の力を最大限に発揮してゆっくりとベッドの上に上半身を起き上がらせようとした。
が、やはり体中が痛すぎて動くことさえままならない。
しばらく時間が経って慣れれば動くようになるのかもしれない。
骨を折るってのは辛い。
安静にするしか治す方法が無いので、ひたすらおとなしくしなければならない。
左足も折っているのかギプスが巻かれている。
ベッドに横になった状態で、どこかに杖の一つも置いてないのかと、杖を探しているところに、母親と医者が戻ってきた。