フレンズ
それからは、私はあわてて話題を変えた。
「そんなことより、カズとユキちゃんは、会社で同じ部署なの?」
それに応えて、カズとユキちゃんは代わる代わる説明をした。
ユキちゃんは、一か月くらい前にカズの取り組んでいる
プロジェクトに入ってきたらしい。
けっこう、きついプロジェクトで、女の子は皆、根をあげるのに
ユキちゃんはよく頑張ってるとカズがいうと、
最初は何もわからなくて、泣きそうだったところ
カズが優しく仕事を教えてくれてすごく助かった
とユキちゃんが言い、
カズがやっている会社の草野球チームのマネージャーがいなくて
ユキちゃんに頼んだら、快く引き受けてくれた、
とカズが言ったら、
仕事中のカズはとってもかっこいいけど、野球をしてるカズは
もっとかっこいいと、とユキちゃんが頬を染めながら話しているのを
カズはちょっと嬉しそうに照れ笑いをしながら聞いていた。
……
帰り。
「すみません、ごちそうさまでした。私たちが強引にお邪魔したのに」
ユキちゃんは、かわいらしくお辞儀をした。
「いいよ、いいよ。」
何?今日は私がおごるって言ってたのに,カズったら後輩の可愛い子がいたら
自分が出すって、かっこつけちゃって。
「じゃ、相沢さん、また来週。葉月さん、さようなら」
小さくバイバイをするユキちゃんのしぐさは、自分を可愛い女だと
知っている女だけがするしぐさ。
「急にわるかったな。葉月、飲みなおすか?」
ユキちゃんたちを見送り、カズがそう言った。
「ん~、そうだね…」
なんだか、このまま帰るのは、なんとなく面白くないし…
「じゃ、カズんとこ行く。カズんちで飲み直そう!」