黄昏に香る音色
甘く、切ない時間は短い。

もう時間だ。

校内に、部活の終了を告げるチャイムが響く。

「じゃあ。またね」

その言葉を言うのが、明日香には辛かった。

本当は、

いっしょに帰ろう…と、言いたかった。

言ってほしい。

あたしに、言ってほしい。


「またね」

でも、

優しい笑顔を、浮かべながら、去っていくゆうを、

明日香は、手を振って、見送りながら…

自分の思いを、しまい込んだ。

ゆうとは、

帰る方向がちがう。

自分のわがままを、押しつけてはいけない。

時間があるとき、

自分が、ゆうの方向に遠回りしょう。

あたしが合わそう。

ダブルケイの練習がないときにでも。
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