黄昏に香る音色
そんな里美の後ろ姿を、見つめる明日香。

三島も、CDショップに入った。

明日香は店の前で、ため息をつくと、入ることは入ったけど…

3人とは離れ、違うコーナーへ足を進めた。

3人がいくのは、J-POP。

明日香が行きたいのは、ジャズだから…。

他より、狭く小さなコーナーだけど、

明日香には、未知なる宝の山だった。

周りを見回しながら、明日香はゆっくりと歩く。

そして、

一枚のCDを、手に取った。

チェットベイカー。

チェット・ベイカーのシングス。

名前は知っていた。

アンニュイな歌声に、興味があった。

ほしいけど…。

今月は、ピンチだ。

悩んでいると、後ろから声がした。

「これがほしいの?」

高橋だった。

明日香の肩越しに、CDを見ていた。

いつのまに、後ろに…。

明日香は、振り向こうとしたけど、

あまりにも、顔が近すぎて、

慌てて、体ごと離れた。



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