黄昏に香る音色
「高橋君…待ってたんだけど…」

里美は、恐る恐る高橋に近づく。

「話があるの…。携帯にかけても、メールの返事も、くれないから…」

高橋は、自転車を降りることなく、里美に言う。

「もう待たなくていい。お前と、話す必要もなくなった」

「え…?」

愕然とする里美に、

高橋は、吐き捨てるように言った。

「役立たずが!」

高橋は路上に、唾を吐き捨てると、自転車をこいで、

そのまま、振り返ることなく、帰っていった。

里美は、

その場で崩れ落ちた。


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