黄昏に香る音色
「里美!」

明日香は、恵子から離れると、ステージを降り、駆け寄ると、

里美を抱き締めた。

「携帯つながらなかったから…あんたの家に、電話したら…ここだって言うから」

明日香は、ぎゅっと里美を抱き締め、

「あたし…里美の気持ち、全然、わかってあげられなかった…」

里美は、首を横に降り、

「あたしこそ…あんたは、ちっとも悪くないのに…嫉妬してた」

「里美…」

「ごめんね、明日香」

「あたしこそ、ごめんなさい」


やがて、2人は泣きながら、笑い合うと、

お互いの涙を、拭った。


「そうだ!里美。あんた…あたしの演奏、聴いたことないでしょ」

明日香は、ステージの奥にあるものを、取りに行った。


トランペット。
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