黄昏に香る音色
特別寄稿 色のないあたし
あいつ
スタスタと、あいつはあたしに気付かずに、横を通り過ぎ、
何段か上がってから、
「あっ」
と呟いてから、振り返る。
「おはよー、上月」
階段で、止まったままだったあたしは、振り返り、
少し不満そうに、返事した。
「おはよう…ゆうくん」
だけど、あいつは、あたしの気持ちなんて、わかるはずもない。
挨拶した瞬間から、あいつはあたしを見ていない。
前を向いて、ただ階段を上がっていく。
その後ろ姿を見送りながら、あたしは切なさと、
ほんの少しのうれしさを感じていた。
何段か上がってから、
「あっ」
と呟いてから、振り返る。
「おはよー、上月」
階段で、止まったままだったあたしは、振り返り、
少し不満そうに、返事した。
「おはよう…ゆうくん」
だけど、あいつは、あたしの気持ちなんて、わかるはずもない。
挨拶した瞬間から、あいつはあたしを見ていない。
前を向いて、ただ階段を上がっていく。
その後ろ姿を見送りながら、あたしは切なさと、
ほんの少しのうれしさを感じていた。