黄昏に香る音色
「まったく…好きよね。あんた…」

夕焼けが支配する空の下、

渡り廊下で佇むあたしに、親友の麻美が、ため息をついた。

渡り廊下から見えるグラウンドを見つめるあたしとは、逆に……

麻美は、背中で手摺りにもたれ、欠伸をしていた。

「最近…ちょっとだけ…話せるようになったの」

嬉しくて、顔がほころんでしまうあたしの横顔を、

麻美はちらっと見て、

「ただ…挨拶するぐらいでしょ…」

またため息をついた。


「何言ってるのよ!」

あたしは、手摺りから身を乗り出し、

「あそこから…ここまであったんだよ」

グラウンドを指差し、渡り廊下を指差した。

そう…ちょっと前までは、ここから、ゆうを眺めることしかできなかった。

サッカー部の部員であるゆうは、いつもグラウンドの真ん中で、練習をしていた。

麻美は、眉をひそめ、

「……こんな遠くから、ただ見てるだけ…。あんた、牧村にボールが回ったときとかも、応援しないだろ」

「だって…」

「ただ見てるだけって…誰を見てるかもわからないだろ」

「ちゃんと見てる!ずっと見てるもん!」

あたしの視線は、ゆうにしかむいていない、

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