黄昏に香る音色
第二部 ミュートの安らぎ
KK
霞がかかったような店内に、恵子はいた。
kk…
ダブルケイという名のbar。
「これ、置いていくのね…」
恵子は、カウンターに置かれたトランペットを、
そっと撫でた。
「いらないからな…」
健司が呟いた。
最後のタバコに火をつけた瞬間、
店の扉が開いた。
逆光の中、佇む細身の女。
安藤理恵。
恵子から、すべてを奪っていく女。
理恵は、店内を一瞥すると、すぐに消えた。
恵子を、見ようともしないで。
「待つのが、嫌いな女だからな…」
健司は、吸いかけのタバコを、灰皿にねじ込むと、
カウンターから立った。
「俺を、憎んでもいい」
kk…
ダブルケイという名のbar。
「これ、置いていくのね…」
恵子は、カウンターに置かれたトランペットを、
そっと撫でた。
「いらないからな…」
健司が呟いた。
最後のタバコに火をつけた瞬間、
店の扉が開いた。
逆光の中、佇む細身の女。
安藤理恵。
恵子から、すべてを奪っていく女。
理恵は、店内を一瞥すると、すぐに消えた。
恵子を、見ようともしないで。
「待つのが、嫌いな女だからな…」
健司は、吸いかけのタバコを、灰皿にねじ込むと、
カウンターから立った。
「俺を、憎んでもいい」