黄昏に香る音色
高橋は笑い、

「最近、あの男はいないようだね。別れたの?」

いきなり現れた高橋に、身構える明日香。

「あなたには、関係ないでしょ」

明日香の言葉に、高橋は鼻で笑った。

「フン…関係な〜い!?いきなり、殴られたんだぜ」

「それはあなたが…」

「俺がどうしたって?」

高橋は、明日香に近づく。

「結構…傷ついたんだぜ。女なんかに、ふられたことが」

明日香は、身の危険を感じ、後退る。

「あれから…何人か付き合ったけど、傷はふさがらない」

ゆっくりと…高橋は、距離をつめてくる。

「もう…あの男はいない」

後ろの階段に向かって、走ろうとした明日香との距離を、

一瞬で縮め、高橋は腕を掴んだ。

「好きだったから…特別に、少しは優しくしてやろうと思ったけど…やめだ」

高橋は、明日香の腕を引っ張り、

抱き寄せる。


(ゆう……)

明日香の必死の抵抗も、高橋には通用しない。


(助けて…)
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