黄昏に香る音色
赤ん坊が泣いていた。



天才といわれ…数多くの人が、理恵に近寄ろうとした。

理恵は、アイドルという人形じゃないから、

くだらないことに、縛られたくなかった。

世界中の著名なアーティストが、理恵の歌声を欲しがり、自分の国に、きてくれることを望んだ。

もちろんファーストクラスで。

でも、理恵は不満だった。

ほしければ、あんたが来なさい。

その理恵の考えに……たかが、ジャップの黄色猿が…と来ないやつが、大半だった。

音楽じゃない。そいつらの…プライドの問題だった。

どうしても、ほしいやつはバンドを連れてきたり、マスターテープを持って世界中から、理恵のもとに来た。


理恵は、才能がある者は、誰でも、その場で起用し、
使えなかったら、すぐに首にした。

人種じゃない…そいつの問題だった。

理恵のアルバムが、録音されるときは…スタジオには、ミュージシャンが溢れ、呼ばれるのを待っていた。

売れてる者も、そうでない者も。

理恵は、ミュージシャンを実力で判断した。

録音したすべての版権を、自分で持ち、ある程度の枚数を売ると、

すぐにアルバム、を生産中止にした。

あたしの音を、ちゃんと理解して、聴ける人なんて少ない。

話題と興味で、きいてほしくなった。

マスターテープを、レコード会社の偉いさんの前で、何回も破壊した。

だから、理恵のアルバムはほとんど残ってなく、プレミアがついている。


こんな過去のものに…理恵は、過去の自分にさえ、興味がなかった。
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