黄昏に香る音色
「何があったか知らないけど、あんたは、あんたなのよ!才能がないとか、軽やかな演奏とか!楽しくなくちゃ、全然面白くない!和美さんに、何か言われたとしても、気にするなああああ!!」

絶叫する里美の優しさが、明日香に伝わった。

「あたしが、ドラムを叩くことになったんだから、しっかりしろよ!あすかあ!」

明日香も、少し流れた涙を拭いながら、

里美の言葉に、頷いた。

里美も頷くと、

「わかったら、よろしい。では、これから…景気づけに、カラオケにいくわよ!どうせ…ママとこ、今日は行かないんでしょ」

強引な里美。

里美らしい。

2人は、笑いながら歩きだした。


「ところで、ユニット名だけど…ペパーミントでどう?」

里美が言った。

「昨日飲んだカクテル…じゃなくて、ミントって明るいキャラがいて…」

「酒飲み…」

明日香の言葉に思いっきり、首を振る里美。

「酒飲みじゃないわよ。たまたま…青いきれいな飲み物があって…何かなと騙された訳よ」

「どこで?」

「家の近所で父親と…」

「あやしい」

2人を照らす夕焼けの中、少女たちは歩いていく。

「勝手に、ユニット名つけていいの?」

「大丈夫よ。明日香の心配性!」


「うるさいわね」


里美は舌を出した。


それは……いつもの2人だった。
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