黄昏に香る音色
夕陽の時間は終わり、

夜が覆い尽くした町を、明日香は歩いていく。

短大の卒業記念として、

地元の大学や、専門学校の卒業生達と、飲み会をするのだ。

主催は、里美。

「明日香あ!」

会場となる居酒屋に着いたら、もう里美は、出来上がっていた。

今、6時半。

大丈夫なのか…。

座敷に上がると、50人くらいはいた。

結構な大所帯だ。

「ペパーミントの未来に乾杯!」

この町で見つけたギターリストの瑞希が、勝手に1人で乾杯してる。

「何時から、のんでるの?」

座敷の一番端に、座った明日香は、隣に座るベーシストの小百合にきいた。

小百合は顔を上に向け、考え込んだけど、わからずに、

携帯で、時間を確認した。

「4時からだから…ゲッ!2時間半だ!」

周りを見回すと、もう酔いつぶれている人間もいる。

「明日香!」

焼酎の入ったグラスを片手に、里美が抱きついてくる。

「何とか卒業できたね!あたし達。一時期はどうやることかと」


(それは、あんただけだ)

明日香は、心の中で叫んだ。

「明日香!一生、ペパーミントで頑張ろうぜ」

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