黄昏に香る音色
紗理奈の歌がはじまる。

UAの情熱だ。

手でリズムを取りながら、歌い出す。

思わず、

牧村のビールを飲む手が、止まった。

牧村は素直に、驚いた。

相当うまい。

ハスキーで、ソウルフルな歌声。

牧村は、ジョッキを置き、

目をつぶって、

紗理奈の歌声に、聴き惚れた。

歌が終わる。

ふぅと息をつく紗理奈。

大拍手する牧村。

照れながら、頭を下げる紗理奈。

次の曲が、入っていないことに気づいた。

「いや、俺はいいよ。きみの歌が聴きたいから」

紗理奈は驚き、遠慮しながらも、次の曲を入れた。

エンジンがかかった紗理奈の、

ワンマンショーが始まる。

いろんなタイプの曲を歌い、

牧村の反応を見た。

(うまく歌えているかな……)

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