黄昏に香る音色
照れくさそうに、カウンターに座る優一を、

紗理奈は、戸惑いながら見ていた。

そんな視線を感じず、

優一は、明日香を見ていた。


教育実習にいったとき…

優一はつくづく、自分が先生に、向いてないと思った。

みんな…各々頑張る彼らを、

どう評価ができよう。

できないと評価し、彼らの一生を左右できようか。



優一についた担当の先生は、優しくて温和で

生徒に人気があった。

その先生が、優一にこう言った。

「牧村先生。こいつらは、何もできない馬鹿。私達が、教えないとないも知らない馬鹿…と思わないと、先生はできない」

そのアドバイスをきいたとき、

優一は、自分には無理と思った。



実習最後の日、

渡り廊下から、校舎を見た。

そこからしか、見れない景色を、

自分が、再び見れたことで…目的も、終わった気がした。


卒業後、

優一は、普通の企業に就職した。




逆に、会社をやめる先輩にある日、

飲みに連れ出された。

二軒目に、連れて来られたBAR。

そこで、優一は久々の再会を果たしたのだ。

それは、教育実習で、出会った少女だった。

香月明日香。

優一の思い出の少女に、似ていた。



明日香はEVILを、恵子に紹介された。

恵子とマスターは、知り合いだった。

EVILのマスターは、

もと恵子のバンド…ダブルケイのメンバーだった。



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