黄昏に香る音色
かけていたCDが止まり、
明日香は、新しいCDをセットする。
流れる低音。
A TRIBE CALLED QUESTの“The Low End Theory”
今、明日香のお気に入りの音だった。
無駄を省いたその音は、美しく、衝撃的。
カウンターだけの店内は広く、15人くらいは座れた。
奥に三人、お客がいた。
明日香は、1人1人に満遍なく話しかける。
「店長、遅いね」
「知り合いのお店の周年で…お祝いにいってますから」
明日香を包む店の雰囲気…お客さんも優しかった。
妹や娘に、話しかけるように。
紗理奈の客とは違った。
同じ客商売なのに。
間に、カウンターがあるからだろうか。
紗理奈は、お客に話しかける明日香の横顔を眺めた。
綺麗な顔。
紗理奈も、けっしてブサイクではないが、
種類が違うように感じた。
紗理奈は、花束。
綺麗だが、
根を切られ、
長く生きれない。
明日香は、鉢植えの花。
綺麗と眺められ、
大切に水をやり、
育てられる。
その鉢植えは、
多分…
花束より高価だ。
「明日香ちゃんのCDないの?」
1人のお客が、ウォッカトニックのおかわりを頼みながら、明日香にきいた。
明日香は目を丸くし、
「え!あたしのCDですか?」
「発売日が決まったと、マスターが言っていたぞ」
「聴きたいなあ」
他の客も言い出す。
「やっと…レコード会社が、折れてくれたから…」
明日香は少し、はにかむ。
「店でかけるんですかあ〜」
明日香は、新しいCDをセットする。
流れる低音。
A TRIBE CALLED QUESTの“The Low End Theory”
今、明日香のお気に入りの音だった。
無駄を省いたその音は、美しく、衝撃的。
カウンターだけの店内は広く、15人くらいは座れた。
奥に三人、お客がいた。
明日香は、1人1人に満遍なく話しかける。
「店長、遅いね」
「知り合いのお店の周年で…お祝いにいってますから」
明日香を包む店の雰囲気…お客さんも優しかった。
妹や娘に、話しかけるように。
紗理奈の客とは違った。
同じ客商売なのに。
間に、カウンターがあるからだろうか。
紗理奈は、お客に話しかける明日香の横顔を眺めた。
綺麗な顔。
紗理奈も、けっしてブサイクではないが、
種類が違うように感じた。
紗理奈は、花束。
綺麗だが、
根を切られ、
長く生きれない。
明日香は、鉢植えの花。
綺麗と眺められ、
大切に水をやり、
育てられる。
その鉢植えは、
多分…
花束より高価だ。
「明日香ちゃんのCDないの?」
1人のお客が、ウォッカトニックのおかわりを頼みながら、明日香にきいた。
明日香は目を丸くし、
「え!あたしのCDですか?」
「発売日が決まったと、マスターが言っていたぞ」
「聴きたいなあ」
他の客も言い出す。
「やっと…レコード会社が、折れてくれたから…」
明日香は少し、はにかむ。
「店でかけるんですかあ〜」