黄昏に香る音色
ゆうはもう、いなかった。

渡り廊下からの階段を降りながら、

明日香は一度足を止め、振り返り、見上げた。

やはり、いない。

いつのまに、消えたのだろうか。

先に、里美が下についた。

そこは、グラウンドと中庭の間のコンクリート。

階段を降り、渡り廊下の下には、水飲み場がある為、必ず部活を終えた生徒が使用していた。

グラウンドの方から、練習を終えたサッカー部が、やってきた。

当然、取り巻きも周りにいた。

特に、高橋の周りには。


近づいてくるサッカー部に気付き、

里美の足が止まった。

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