黄昏に香る音色
なつかしい風景。

黄昏に包まれた店が見えた。

明日香は、走りだした。

ダブルケイ。

あたしが、、歌手として生まれた場所…。

大切な故郷。

まだクローズの扉を開けた。

「ただいま!」

カウンターの向こうに、いつもの

あの頃の恵子がいた。

笑顔で明日香を迎える。

「ママ、ごめんなさい」

明日香が駆け寄る。

恵子は笑顔で、首を横に振った。





「明日香!」

奥から、里美の声がした。

明日香が、里美の声に気をとられた一瞬、

明日香の前にいた恵子は、消えていた。


「帰ってきたんだ!明日香」

里美が駆け寄り、明日香に抱きつく。

「里美…さとみ!」

明日香も、里美を抱き締めた。




(ママ…ただいま)
< 433 / 456 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop