黄昏に香る音色
「明日香!いたあ!」

里美が、2階に上がってきた。

「店、大忙しなのよ!みんな、あんたの出番待ってるんだから!早くしてよ」

「わかったわ」

明日香は、香里奈を見て、

「ちょっとママ、歌ってくるからね。大人しくしててね」

明日香は、香里奈を里美に預けた。

香里奈を抱く里美。

啓介が、先に下に降りた。

「じゃあ、里美。香里奈をよろしくね」

明日香は、香里奈のおでこに口づけする。


「ちょっと待ってよ。香里奈の面倒見てる場合じゃないの!店どうするのよ」

明日香は、香里奈に手を振りながら、

下に降りていった。

残された里美の中で、香里奈が笑う。

里美も笑いかける。

「ったく…結婚する前に子育て、詳しくなってどうするのよ」

里美の頬を、香里奈がつねる。

「痛っ!まったく…彼氏もいないのに…」

里美のため息が、合図のように、下から歓声がわく。

明日香の歌が、始まったのだ。

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