黄昏に香る音色
足を止めた里美は、俯きながら、明日香が降りてくるのを待つ。

取り巻きの中には、麻里亜もいた。

里美は体を強ばらせ、

けっして顔を上げない。

下を向き、自分の足元しか見えていない。

そんな視界の中に、

ワインレッドのスニーカーが、飛び込んでくる。

「あらあ〜。有沢さんじゃない」

里美の耳元…至近距離から、声をかけられた。

知っている声だ。

里美はがばっと、顔を上げた。


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