黄昏に香る音色
「え?」

思いも寄らない言葉に、明日香は思わず聞き返した。

「わからないの?それとも、自覚してないのかしら?」

麻里亜は大袈裟に、肩をすくめ、

「これだから…ストーカーは嫌よね」

麻里亜は、明日香を睨み、

「迷惑なんだよ!あんな所から見られたら、高橋君の練習の邪魔になるんだよ」

麻理亜の言葉に、

里美の怒りは、頂点に達した。

里美は振り向き、後ろから、麻里亜の肩を掴んだ。

「てめえ!何、言いがかりつけてんだよ!明日香は、ただ動きを、観察してるだけだ!ストーカーじゃあねえよ」

里美は無理やり、腕を引いて、麻理亜を自分に向かせる。

麻理亜はジロッと、里美を睨んだ。

「あなたに、言ってませんわ」

「てめえ。いい加減にしろよな」

里美と麻里亜は、睨み合う。

だけど、すぐに、

麻里亜は噴き出した。

これ以上ないくらいに、笑い転げる。

「な、何がおかしい!」

麻里亜の胸倉を掴もうとした里美の手を、逆に掴んだ。

「ねえ〜有沢さん」

麻理亜は、楽しくてたまらないみたいだ。

凄んでみようと、笑うことを抑えたけど、口元の笑みは消えない。

「あなたが…高橋君のこと好きなのかしら?」


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