黄昏に香る音色
「え」

絶句する里美。

胸倉を掴もうとしていた手の力も、弱くなった。

麻里亜は、掴んだ手で、里美の手を振り解いた。

里美の反応に、

麻里亜の笑みは、止まらなくなる。

「あら?図星かしら」

顔が、真っ赤になり、動けなくなった里美に、

麻里亜は、追い討ちをかけた。

「皆さん〜有沢さんは、高橋君が、好きみたいです」

その声に、取り巻きが一斉に、

「ええ!!」

と大袈裟に、驚く。

麻里亜は、うんうんと何度も頷き、

「そうですよね〜。男みたいな癖に…生意気なんだよ!」

麻里亜の言葉をきいた瞬間、

里美は、その場から走り出した。


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