黄昏に香る音色
「変なの…」

明日香は、首を傾げると…再びサンドイッチをパクつく。




「どうして…あそこに、いつも足が向くんだ…」

優一も、頭を傾げながら、歩く。

ベンチがある場所は、体育館の裏側であり、体育館に沿って、校舎まで歩いていると、

当然、渡り廊下の横を通る。

「うん?」

優一は、視線を感じ、真上を見上げた。

手摺りは確認できたけど、

そこから、覗き込むものはいない。

気のせいか。

優一は、歩き出そうとしたけど、

再び…上を見上げた。

しばし見上げ、

「いるわけない」

フッと笑うと、再び歩き出した。

「先生!」

優一に、気づいた女生徒が、10人くらいに、優一の周りに集まってくる。

「先生!ご飯、食べたんですか?」

「あっ…いや、まだなんだけど…」

口ごもる優一を、

「じゃあ!一緒に食べましょう」

両腕を捕られ、優一は囲まれながら、

渡り廊下と、反対側の北校舎の横にある食堂へと、連行されていく。


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