黄昏に香る音色
「今日は、自転車じゃないんだ…」

里美の言葉も、高橋には、聞こえない。

何かを考え込んでいる。

「高橋君…?」

里美の質問から、しばらくしてから…高橋は徐に、口を開いた。

「あ…。雨が、降るかもしれないから、家の近くの駅に、置いてきたんだ」

そして、また無言に戻る。

駅に近づく。

踏切が、閉まっていた。

2人は足を止め、

通り過ぎる電車を、ただ見送っていた。

踏切が上がる瞬間、

高橋は、口を開いた。

「里美…」

高橋は、里美の方を向いて、里美を見つめ、ゆっくりと口を開いた。

「今度デートしょう」
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