ヒミツの恋【短編集】
「まどか?見て…すごい夕日…。教室からでもこんな夕日が見れるんだね。
…でもやっぱり図書室から渉と眺める夕日の方が綺麗だったな…」





『………』







こんな事言われて答えに困ってるのね。






「渉の髪が夕日の中に溶け込んで…すごく…綺麗だったのよ?」





『………』







「本当はもっと…見ていたかったな。…隣にいたかった…な…」






止まっていた涙がまた零れ落ちる。






「…まだ…こんなに好きなのに…。ど…したら…忘れられるのかな…。

まだまだ…忘れられそうにないよぉ…」






ずずっと鼻を啜りながら言った。







『忘れる事なんてしなくていいよ。てか…忘れて欲しくないんだけど…』






――その言葉に


その声に…




呼吸が、心臓が…一瞬止まった――
< 101 / 218 >

この作品をシェア

pagetop