ヒミツの恋【短編集】
『…わかったよ…。』






これで…ホントのさよならだね…





そう思うと切なくて…もう一度だけ…
渉の顔を最後にもう一度見たい。





その想いで振り返る。





その瞬間






強く抱きしめられた。





私の肩にのる私の頭…頬をくすぐる柔らかい渉の髪…




「は…なして…。彼女に悪い…よ。」





本当は嬉しいのに…




死ぬほど嬉しいのに






強がりの言葉しか出てこない。





『ヤダ…。だって真由美が言ったんだよ?』





「何の事…?」





『“ネクタイの子と”って…。このネクタイ、真由美のなんだよ?だから…』





より一層きつく抱きしめられる。





「わ…私の…ネクタイ??」
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