ヒミツの恋【短編集】
ポケットの中にしまうんじゃなくて…





持ち歩くんじゃなくて…





今度は隠さずに、“渉の彼女です”ってしるしを、…ネクタイで示したい…。





渉が私の気持ちを信じてくれた様に…





私も渉が言った“護る”って言葉を信じたいから…





買い直して付けてたネクタイを外した。





そして代わりに渉のネクタイを首へ巻こうとする。






けれど、手がまだ震えてて上手く出来ない。






そんな私を見兼ねて渉がそっと手を延ばしてきた。






『貸して…』







そうして目の前で器用に巻かれたネクタイは…





「ユルユルだよ…?」





『…俺のネクタイはユル巻きなんだよ。知ってるでしょ?』







そうして…久しぶりに見せてくれた笑顔…





目を細めて笑う…大好きな渉の笑顔。
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