ヒミツの恋【短編集】
ヒステリックに俺に『どうして私じゃダメなの!?』と言い寄る姿に、どんどんいらついてしまう。





声を荒げた俺にそいつはとんでもない事を言って来た。




『………。その子…渉のネクタイなんかつけてられないって、言ってた。仕方ないから交換しただけだって!』




…真由美はそんな事言う子じゃない…お前に…
お前に真由美の何がわかるんだ。






そう思っていても、上手く反論出来ない。




言葉が詰まって出てこない…




『ちょっといい男だから一緒にいただけだって…。私…好きなのか聞いてみたよ?そしたら…好きでもなんでもないって…』






目の前が真っ暗になる…






『嘘言わないでっ!』






そんな俺の前に出てきた真由美の胸元には…





真新しいネクタイがつけられていた…







『渉…信じて…』






そう真由美は言ってるのに…






俺…何て返事したのか覚えてないけど…






気付いた時、真由美は今にも泣きそうな顔をしてて…涙が出ないようになのか、きつく目を閉じて立っていた…
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